インプラント治療コラム COLUMN

インプラント治療における「仮歯」の種類・役割 仮歯の期間はどれくらい?



インプラント治療では、ネジのような形をしたインプラント体(フィクスチャー)を顎の骨に埋め入れ、人工の歯根を作ります。


インプラント治療において、患者様が特に気になるのが「最終的な人工歯が入るまでのあいだ、仮歯を入れるのか」「歯がない期間が長く続くのか」という『仮歯の有無』ではないでしょうか。


結論から申しますと、多くの場合、インプラント手術後には仮歯を入れます。ただし、患者様や歯周組織(歯ぐき、顎の骨)の状態によっては仮歯を入れない(入れられない)ケースもあります。


今回は「インプラント治療における仮歯の種類・役割」についてご説明いたします。


■インプラント治療における仮歯の役割


インプラント体の埋め入れ後、最終的な人工歯(上部構造)(本歯)を入れるまでのあいだはプロビジョナルクラウンと呼ばれる仮歯を装着し、噛み合わせの安定を図ります。


◎1回目の手術後、2週間ほど経過した時点で仮歯を入れます


当院のインプラント治療では、1回法によるインプラント体の埋め入れ手術後、2週間ほど経過した時点で仮歯を入れます(※)。


2回の手術を行う2回法では、1回目の手術後、2週間ほど経った抜糸のタイミングで仮歯を入れます(※)。


(※)目安の期間です。患者様や患部の状態により、

手術後、仮歯を入れるまでの期間が異なります。


{プロビジョナルクラウンの役割}


インプラント埋め入れ手術後に入れる仮歯は「プロビジョナルクラウン(プロビジョナルレストレーション)」と呼びます。


プロビジョナルクラウンの「プロビジョナル」は「pro(プロ:事前に、前もって)」「visional(ビジョナル:仕上がりの姿を描き出す)」という意味です。


「前もって仕上がりの姿を描き出す」という意味が示す通り、プロビジョナルクラウンの仮歯は以下のような役割を持ちます。


プロビジョナルクラウンの役割


1.プロビジョナルクラウンの歯への適合の仕方を見て、最終的な人工歯(本歯)の精度を高めるための参考にする

2.患部(歯ぐきの切開部分)に仮歯でフタをすることで細菌感染を防ぎやすくする

3.「歯がない期間」を無くし、見た目をカバーする

4.本歯が入るまでの期間、仮歯を入れることで噛み合わせの乱れを防ぐ

5.ある程度、噛む機能を補う(ある程度、とする理由は以下でご説明します)


◎インプラント治療で入れる仮歯は「食べ物を噛むため」の物ではありません


インプラント治療で入れる仮歯は、食べ物を積極的に噛むための物ではありません。


もちろん、インプラント治療中に入れる仮歯には食べ物を噛む役割もあります。ただし、噛めるからと言って食べ物を積極的に噛むのはNGです。


インプラント手術の直後~インプラント体が顎の骨に結合して安定するまでの期間(3~5ヶ月間程度:(※目安の期間))はインプラント体・顎の骨、どちらも不安定な状態です。


インプラント体が顎の骨に結合するまでの不安定な時期に弾力のある肉や硬い物を噛んでしまうとインプラント体と顎の骨の結合が阻害され、インプラント体が結合しなくなる可能性があります。


{インプラント手術後(特に手術直後の1ヶ月間)は仮歯で噛まないように気をつけましょう}


インプラント手術後はインプラント体や顎の骨が不安定な状態のため、特に手術直後(手術から1ヶ月間)はなるべく仮歯で噛まないようにしてください。


手術から1ヶ月以上経った後も、できるだけ仮歯では噛まないことが望ましいです。なるべく仮歯で噛まず、患部を安静に保つことでインプラント体と顎の骨の結合がうながされ、インプラント治療を成功に導きやすくなります。


■当院のインプラントの手術法について


◎当院のインプラント手術は1回法、および、2回法に対応


当院では、1回法、および、2回法にてインプラント手術を行っています。


1回法とは、インプラント体の埋め入れとアバットメント(ヒーリングアバットメント)の連結を1日でいっぺんに行う方法です。


2回法では、1回目の手術でインプラント体を埋め入れた後、いったん歯ぐきを閉じます。1回目の手術後はインプラント体が顎の骨に結合するまで3~5ヶ月間程度の治癒期間を置き、2回目の手術で再度、歯ぐきを開いてアバットメントを接続します(※)。


(※)患者様や症例により、結合までの期間が異なります。


◎30ニュートンでインプラント体を埋め入れられた場合は、1回法の手術になります


インプラント治療における核であり、人工歯根となるインプラント体。インプラント手術を行う際には、適切な力でインプラント体を顎の骨に埋め入れなければなりません。


埋め入れ(ネジ固定)の力が弱すぎるとしっかりした固定が得られにくく、力が強すぎるとインプラント体と顎の骨の結合が阻害されたり血流が悪化しやすくなります。


インプラント体の埋め入れの力は30N(ニュートン)前後が適切とされています。


当院では、30Nでインプラント体を埋め入れられた場合は、1回で済む1回法の手術を行っています。


◎ニュートン以外、および、骨造成が必要な場合は2回法による手術を行います


30N以外のインプラント体の埋め入れになった場合は大事を取り、2回に手術を分ける2回法を実施します。


{骨造成が必要な場合}


顎の骨が不足しており、骨造成が必要な場合は2回法で手術を行うケースが多いです。


■インプラント治療で仮歯を入れるときの流れ


<手術当日>

 

①インプラント体の埋め入れ&ヒーリングアバットメントの装着


インプラント体の埋め入れ手術(1回法)では、インプラント体の埋め入れを行うと共に、ヒーリングアバットメントと呼ばれる連結部品を装着します。


ヒーリングアバットメントとは、顎の骨に埋め入れたインプラント体と人工歯(上部構造)を連結する部品です。連結機能のほか、ヒーリングアバットメントには以下の役割もあります。


・インプラント体の先端(頭部)や歯ぐきの創口の保護

・インプラント体を安定させる

・歯ぐきの治癒と形成をうながす

・スペースを確保し、歯並びが乱れるのを防ぐ

・歯ぐきの創口の中に食べカスが侵入するのを防ぐ


<手術後、2週間程度経過>


②プロビジョナルクラウン(仮歯)の装着


手術を行い、インプラント体を埋め入れ、ヒーリングアバットメントを着けた後は、2週間程度経過した時点で仮歯のプロビジョナルクラウンを装着します。


(※)目安の期間です。患者様や患部の状態により、

手術後、仮歯を入れるまでの期間が異なります。


<手術後、3~5ヶ月間程度経過>


③本アバットメント&人工歯(本歯)の装着


患者様や顎の骨の状態によって差はありますが、通常、手術後は3~5ヶ月間程度、仮歯を入れた状態で過ごしていただきます(※)。プロビジョナルクラウンによる仮歯を入れることで歯ぐきのラインや噛み合わせとの適合を確認し、最終的な人工歯(本歯)の精度を高めるための参考にします。


(※)患者様や症例により、仮歯の期間が異なります。


手術後、3~5ヶ月間程度経ち、インプラント体が顎の骨に結合して患部の状態が安定したことが確認できましたら、通常のアバットメント(本アバットメント)、および、本歯となる人工歯を装着してインプラント治療が完了します。


◎インプラント治療の経過中に仮歯を修正して作り替える場合があります


インプラントの手術後は歯ぐきや顎の骨の様子を観察し、歯周組織の状態に応じて仮歯を修正して作り替える場合があります。


◎仮歯を入れないケースも


顎の骨の骨組織がやわらかいなど、顎の骨や歯ぐきの状態によっては、患部への刺激を防ぎインプラント体の骨結合をうながすために仮歯を入れない(入れられない)ケースもあります。


なお、前歯のインプラント治療において仮歯を入れないケースはあまりないです。通常、目立ちやすい前歯のインプラント治療では、手術から2週間程度経ったタイミングで仮歯を装着して見た目をカバーします(※)。


(※)患者様や症例により、仮歯を入れるタイミングが異なります。


【歯のお困りごとがある方、インプラント治療に関するご質問・ご不安がある方はお気軽にご相談ください】


「インプラント治療における仮歯の種類・役割」についてご説明をさせていただきました。


当院では、仮歯を入れる際に極力、患部に負荷をかけないことを心がけております。


骨造成や2回法の手術を行った場合は、歯ぐきや顎の骨の状態によっては大事を取って仮歯を入れない場合もございます(※1)。


(※1)骨造成や2回法の手術を行った場合のすべての

ケースにおいて仮歯を入れない訳ではありません。


患部が安定しており、大きな問題がなければ、通常は仮歯を入れるようにしています。インプラント手術後、「歯がない期間」が何ヶ月間も続くことはほぼありません。どうぞご安心ください(※2)。


(※2)患者様や患部の状態によっては仮

歯を入れられないケースがあります。


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白山歯科クリニックでは、30年以上のインプラントの治療実績がある日本口腔インプラント学会所属の院長が手術を担当します。これまでに行ってきた数多くの治療の経験に基づき、骨造成や難症例にも対応可能です。


歯を失い食べ物をしっかり噛めない方、インプラントのクリニック選びでお困りの方は当院までお気軽にご相談ください。相談費は無料です。


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